海のふた
読みはじめると一人の作家さんに没頭していきます。
深い深い海に 潜っていくように。
「海のふた」
故郷でかき氷屋を開く まりちゃんと おばあちゃんを失ったはじめちゃんの 夏の物語です。
「私のできることは、私の小さな花壇をよく世話して花で満たしておくことができるという程度のことだ。(中略)この世が作った美しいものを、まっすぐな目で見つめたまま、目をそらすようなことに手を染めず、死ぬことができるように暮らすだけのこと。
それは不可能ではない。だって、人間はそういうふうに作られてこの世にやってきたのだから。」(本文抜粋)
私がしている事もこれからする事も 些細な事。
けれど その些細な事が誰かのこころに 何か残すことができたら。
「みんなが自分のまわりの全てに対して、そんなふうに豊かであったなら、きっとこの世の中は……。」(本文抜粋)